COP(コップ)27という重要な国際会議が、11月6日から18日までエジプト紅海沿岸のシャルム・エル・シェイクで行われています。

国際的な問題である気候変動を防ぐための取り組みについて決めた条約に署名した、世界各地197か国の代表が集まって行われているものです。

このCOPという会議は1995年以来毎年行われていて、開催地は持ち回り。去年はコロナのために1年延期されたCOP26がイギリスのグラスゴーで開催されました。

COP26では「産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑える」という目標が成果文書である「グラスゴー気候合意」に明記されました。

また、石炭火力発電について段階的削減をすること、そのために化石燃料への補助金を廃止する努力を進めることにも各国が同意しました。

COP27 は、議長国のエジプトが途上国を代表する形で、気候変動における「損失と損害」の問題に焦点を当てることを表明しています。

これは「気候正義」、すなはち自分たちは何もしていないのに被害を受ける人たちに適切な補償や支援をするべきだという考え方に基づいています。

これまでに気候変動を起こす元となったのは主に先進国の産業発展が原因なのに、それによって起きる熱波や干ばつ、洪水や海面上昇などの被害を受けがちなのは、インフラが整っていない途上国が多いというう現状。

そのために適応対策を行ったり、被害者を救済するための資金や技術援助について、先進国からの積極的な対応がせまられているのです。

また、現状の各国の温室効果ガス排出量削減目標を実現するだけでは2050年脱炭素の達成は困難であり、気温上昇を抑えることが難しいということも科学者から指摘されています。

COP27では、排出量目標の引き上げや、石炭火力発電の廃止といった、具体策の議論についても期待されています。

そして、今回のCOPは気候変動問題以外のことでも注目が集まっています。

開催国であるエジプトの人権抑圧問題について国内外で批判が高まっているからです。

スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリやカナダ人ライター、ナオミ・クラインほか、各種の人権及び環境団体も、エジプト当局の抑圧的な姿勢を批判し、不参加を表明しました。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)は、エジプト政府による人権活動家やジャーナリストの政治犯としての拘束は6万人にのぼり、LGBTコミュニティなど抑圧に苦しんでいる人々が多く存在すると批判。

エジプト政府はCOP27の開催国となることで、民主的で健全な国家であるというイメージを国際舞台で植え付けようとしているというのです。

エジプトでの人権侵害についてSNS投稿したという理由だけで10年も投獄されている、アラ・アブデル・ファタハは獄中でハンガーストライキをしていますが、彼を釈放すべきだという圧力が国際的に高まっています。

この件については斎藤幸平が東洋経済の記事に触れています。
長い記事ですが、最後の5,6ページにこのことが書かれているので、後半部分だけでも読んでみてください。

「民主主義がなく、人権がない世界で、気候正義などありえない。」
「気候正義を掲げる先進国の環境団体が軍事政権のみせかけの環境対策に加担するという残酷さは、筆舌に尽くしがたいものがある。」

このような考えについてあなたはどう思いますか?

 

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