「グローバルSDGs講師育成講座の受講生が提出してくださっている課題レポートを紹介します。
講座Lesson 2の課題で、タイトルは:
「SDGsの17のゴールのうち、あなたが特に関心を持つ目標は?」
わたしが関心を持つ目標は「5 ジェンダー平等を実現しよう」です。
取り組みたいターゲットとして、「5.5政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する」を選びました。
「ジェンダー」は長い歴史の中で、権力や支配構造を死守するために利用されつつ、社会に根深く浸透しています。 特に日本では、皆の自覚がないままに儒教の考え方が重んじられ(儒教は仏教や神道と混ぜこぜになりながら社会の仕組みの基盤に君臨していると思います。)男尊女卑という現実を無自覚に肯定し、女性達は無頓着にその理不尽さに甘んじてきました。
眠りこけた人々の目を覚まさせ社会を変えていくためには、政治が変わることが必要です。多くの女性が政治の場や、意思決定の場で物申し、ジェンダー平等に向けて制度や仕組みを変えていくことにより、誰もが生きやすい社会が実現すると考えます。
そもそも、私は、SDGsの中に「戦争を終わらせる」という項目を探したんですね。きっとあるだろうと思って。実はそれが私にとって一番の関心ごとでした。しかし無かった。ゴール16は少し違う。「戦争を終わらせる」というダイレクトなゴールが無いのは、それが実現困難で達成不可能な課題だからでしょうか。「16 平和と公正をすべての人に」では、「戦争を終わらせるのだ」という決意は感じられません。
小学生のころ、私は世界中で戦争や紛争という殺し合いがなくなっていないことに気づき、日本の「平和」に安堵したものです。そのうち、第2次世界大戦の反省をもとに平和憲法を作り、不戦を誓ったからだな、と理解するようになりました。
一方、世界中で紛争や国が主導する戦争がまかり通っているのはなぜだろう。世界が不戦を約束し、国際連合を作ったのではなかったのか?どうして戦争をやめる、という簡単なことができないのだろう・・・と考えずにはいられませんでした。
私はその「不思議」を父に問いかけました。戦争はどうしたらなくなる?と。父から返ってきたのは、「世界中の権力の座に多くの女性が居るようになれば戦争はなくなるかもしれないね」という想定外の答えでした。
父は大正10年生まれで戦争を経験していました。「結核を患っていたため兵役検査不合格となり、生き延びることができた」とよく言っていました。大正生まれでありながら、今でいうフェミニストだったのかな?「女を大事にしないとバチが当たる」が口癖でした。父の、女性や妻(私の母)へのリスペクトや考え方に私は大きな影響を受けていたのだと思います。
これらの思い出は、大人になるにつれ、忘れられていきましたが、私の記憶の奥深くに仕舞われて、潜在意識と化していたのでしょう。ある日、北京行動綱領の中の、「E女性と武力闘争」の項目に「紛争解決の意思決定へのレベルへの女性の参加を増大する」の文言を見つけた時、父の言葉が蘇ったのです。
今回、関心を持つゴールとして「5 ジェンダー平等を実現しよう」を取り上げたのは、今は亡き父の言葉に一筋の希望の光を見出しているからです。
ひょっとして多くの女性リーダーの台頭によって、戦争のない社会が訪れるのではないか。多くの、武器よりも命への関心が高い女性が意思決定の場に居たらどうだろう。政治の中枢部を多くの女性が占めている、そんな世界を未だ誰も見たことがないですものね。
世界を動かしているのは、見栄っ張りでマウント合戦に余念がない男性陣であるのだろうと想像します。「戦い」の舞台からぜひ降りてほしい。男性もそんな、がんじがらめな生き方を選択しなくても、あなたのままで生きればよい。そのために、ジェンダー平等社会の実現を目指すのです。
さて、私は「ジェンダー平等」の達成によって戦争を終わらせるという、途方もない夢を描きつつ、相変わらず葛藤しながら現実を生きていきます。 そのゴールの達成に向けて、周囲の人々が内包している力や魅力を見抜き、引き出し、さまざまなタイプのリーダーを発掘していこうとしています。
まずは、自分自身のエンパワーメントを信じ、洞察力のある「伝わる人」へと成長しながら。
佐竹真湖
グローバルSDGs講師講座の受講者はなぜか女性が多いのが特徴です。(もちろん男性陣も熱心に学習していらっしゃいます)
そして、やはり女性の受講者の中には、ジェンダー平等について関心が高い方が多いのです。このレッスン課題でもSDG目標5について、大変興味深い、個人的な体験を交えたお話を聞けるので、講師の私にとっても、とても参考になります。
今日はそのうちの一つをご紹介しました。