グローバルSDGs講師育成講座受講生のレポートを紹介します。

Lesson3の課題:SDGsの17のゴールのうち特に関心を持つ目標は?


1.関心のあるSDGsゴール⑴:「目標16:平和と公正をすべての人に」

全てのベースに平和があると思います。

1)   「八月や六日九日十五日」  詠み人知らず

⑴   8月は日本においては特別な月です。

⑵   1943年7月イタリア、1945年5月ドイツの降伏に続いて、日本の無条件降伏によって第二次世界大戦が事実上終結しました(正式な終戦日は国によって違う)。しかし、
①  第二次世界大戦への参戦国数:62ヵ国(当時存在した国の数73ヵ国)
②  犠牲者数: 5,000万人〜 8,000万人( 8,500万人とする統計もある。当時の人口の2.5%)
③  悲劇的なできごと・事件
・ナチスドイツ政権と同盟国と協力者によるホロコースト
・アメリカ軍による広島・長崎への原子爆弾の投下
・日本の中国大陸やアジア諸国への侵略
など、多大な犠牲と混乱を生み出しました。これは大戦が終結して78年が経過した現在にも続く悲惨な歴史です。

⑶ 現在は、ロシアのウクライナ侵攻により当事国はもとより、ウクライナを支援するNATOを中心とした勢力とロシア及び陰で支えている国々を巻き込んで世界中で分断と大きな犠牲と様々な悪影響を生み出しており、事実上の世界大戦の様相にもなっているように思います。
  SDGsとの関係で言えば、エネルギー問題(目標7)、環境汚染(目標13・15)、戦争関連死者・負傷者(目標3)、食料問題(目標2)など多方面で、とりわけ目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」について深刻な悪影響を及ぼしていると考えています。

2)日本について

⑴最近の日本政府の動きについては、不安が高まるばかりです。
第二次世界大戦の反省などまるでなかったかのように
・戦争ができる国、武器を輸出して稼ぐ国をめざすようになっていると思います。また、最近は特に憲法改正へ向けた意見が声高に発せられる機会が増えています。
・東アジアにおいて、中国及び北朝鮮の脅威はあるものの、平和的な対応ではなく対立構造が強調される意見が多く “アジア版NATO” を志向するかのような行動が続いています。(つい先日の日米韓首脳会談に対して、早速中国は非難の声明を出しています)

⑵ 先のG7の共同宣言は、被爆地広島での開催にも関わらず「核抑止論」を肯定するものでした。
広島県の湯崎知事、広島市の松井市長、長崎市の鈴木市長も平和記念式典で指摘されていました。私も「核による抑止論」はめざすべき本来の姿ではないと考えています。

(3)「はだしのゲン」
今年、広島市の平和教育副教材から「はだしのゲン」が削除されました。一部には図書館に置かないというような話も聞きます。歴史に目を向けないような動きもあり、こういう点も含めて日本の姿勢に不安感が高まります。

SDG16
 
2.関心のあるSDGsゴール⑵:「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」

日本においては、この目標も深刻な状況です。

1)   日本の順位やスコア(世界経済フォーラム「グローバル・ジャンダー・ギャップ報告書2022」)

⑴  全体スコア:0.650、順位116位/146ヵ国

⑵  政治参画0.061(139位)、経済参画0.564(121位)、健康0.973(63位)、教育1.000(1位)

⑶  政治参画は、国会議員の男女比、閣僚の男女比、最近50年における内閣府の長の在任年数の男女比。経済参画は、管理的職業従事者の男女比率への評価が低くなっています。

2)本質的な問題

⑴高い評価になっている教育は、識字率の男女比、初等教育就学率の男女比、中等教育就学率の男女比、高等教育の男女比が基準になっています。

⑵ しかし、
① 順天堂大学医学部の入学試験で男女により合格基準が違っていた問題
② 公立学校校長の女性比率(平成12年、小学校15.6%、中学校3.5%、高等学校3.5%・・・少し古いですが男女共同参画局データ)に圧倒的に差があること。
などの内容も大きな問題です。当然、改善するべき課題です。

⑶ 一方で、LGBTQについては、先の国会での混乱が象徴していますが、主要7カ国(G7)の他国は一般的な差別の禁止や平等原則を定める法律で対象に含めているが、日本が国際的に後れを取っていることは明白だと思います。

⑷  従って、世界経済フォーラムの数値での評価は重要で指標として活用して行くべきですが、より重要なことはジェンダーに関する理解の促進であり、既に市民の理解や意識は変わっているのに、そのことを理解できない政治(政治家)の問題だと考えています。
※政治家個々の問題とこういう課題に対しても先の国会でもあったように党議拘束をかけることなど政党ならびに国会の運営が旧態依然としていることも課題だと考えます。


 
⒊ さいごに

全体的な課題として、「日本でのSDGsへの関心の低さ」があります。
遠い世界のことであり、綺麗事だとする意見もいまだに散見されます。
大人の責任が大きいです。



8月になると、日本では戦争や平和についての話がよく取り上げられます。広島や長崎の原爆記念日と終戦記念日の頃には、特にそう。第2次世界大戦を実際に体験した人たちが少なくなってきた今だからこそ、我々の世代はその記録を正しく次の世代に語り継ぐ責任があります。

世界でいまだにどこかで戦争が起きている今、原爆などの被害について伝えるのはもちろんですが、戦争というものがどうして起きるのかという時代の流れについても、真の歴史から目を背けることなく、反省をも込めて学び、伝えるべき。

世界中のすべての人に平和と公正をもたらすために。