グローバルSDGs講師育成講座受講生のレポートを紹介します。
Lesson 14：
「フィンランドで行われているSDGsへの取り組みの中で、自分がいいと思っているもの、参考にしたいものについてまとめなさい。」
フィンランドのジェンダー平等の推進などの優れている点、気候変動への更なる対策を学びました。その中で取り上げられていたフィンランドの都市ラハティに興味を持ちました。２０２１年にヨーロッパのグリーン都市に指定されたフィンランド南部のラハティは、２０２５年までにカーボンニュートラルになるという目標を掲げ、２０５０年までに廃棄物ゼロの循環型経済都市を目指し、実際温室効果ガスの排出が削減されています。
ラハティの取り組みについては、Lesson 14 から、交通でのスキー利用、石炭使用の廃止および自転車、公共交通機関の利用推進、９９パーセントの家庭ごみのリサイクルなどの取り組み、市内の文化団体（オーケストラ）の環境を配慮した取り組みを学びました。また、湖の汚染をきっかけに環境保護の取り組みが始まっていることも知りました。
では、具体的にどのような活動によってこれらが進められているのでしょうか。推進するためには、市政府がただ唱えるだけでは、また市と企業の取り組みだけでは、進められません。市民の関わり方が鍵になります。調べてみると、市民が加わりやすい仕組みを作っていることがわかりました。
フィンランドは今年度のはじめより、法律で衣類の分別回収を定めましたが、ラハティ市は６箇所回収ボックスを設置し、人々がより積極的に分別回収に協力できるようにデポジット制度を６月に実験的に導入しました。袋１杯の衣類を出すと、カフェあるいはプール利用のクーポンになるというものです。６月の実験前と比べ５倍の回収があったということで人々の行動に影響したと考えられます。回収された衣類はパイミオ市にあるフィンランド最大の繊維加工施設でリサイクル繊維となり、再生衣料の他、防音パネルなど様々なものに加工されているようです。古繊維の途上国への輸出問題が、繊維再利用の課題の中で、国内処理というところも、循環型経済を考えたときに大切な要素だと思います。
また、交通面ではCitiCapというアプリを利用して、個人に環境負荷の少ない交通手段を選択しやすい状況を生み出しています。このアプリの利用者が環境負荷の少ない交通手段を利用するとどれだけCO2の排出が抑えられたのかを計算し、それによってバスや自転車修理の割引クーポン券が入手できる仕組みになっています。また、このアプリによって市民の移動情報が集約されていて、今後市民への新たな交通サービスを作り上げることも可能であると考えられています。
上の２つは、報酬制度を利用して市民の環境への行動を刺激しようという実験的な試みですが、上手く回っているように記事から読み取れます。
その他、ラハティをインターネットで調べると「糞と廃棄食材でビール」という話題が結構ヒットします。公園にくるガチョウの糞を集めて処理をし、麦芽を燻すために使用し、野生のハーブや賞味期限の切れたフルーツや搾りかすなども使って醸造しています。ラハティのニュースレター内では、「公園は以前よりもきれいになり、公園でのピクニックにそのビールを持って楽しめば、真の一石二鳥の解決策だ Now, the local parks get cleaner and the special edition summer beverages are perfect for a picnic in the park – a true two birds with one stone type of solution.」と述べています。循環の体現だとつい笑みを浮かべてしまうフレーズでした。
個人の行動、日々の活動が大事であるとラハティの活動を伝えるサイトなどから伝わってきます。義務感からでは続きませんが、報酬を得ることや自分の活動の成果が身近に見えること、そして楽しみがあることは、長く続けるための仕掛けとなると思います。
ラハティは、モデル都市であり、他の地域の人々への発信も行っています。GreenLahatiというニュースレターサイトでは、様々な取り組みが紹介されていたり、ラハティの人々のメッセージが読めたりします。観光サイトでも、持続可能な環境を経験できることが述べられています。
地域によって必要な問題は異なり解決策も異なると思いますが、どのように人々を巻き込んでいくかということが、大切ですので、ラハティの取り組みは参考になるものだと思います。
参考資料
https://www.uia-initiative.eu/en/uia-cities/lahti
https://ideasforgood.jp/2023/11/21/carbon-neutral-lahti/
https://www.sustainablebrands.jp/news/us/detail/1203401_1532.html
https://visitlahti.fi/en/frontpage/to-see-and-to-do/sustainable-travel/
R.O
