グローバルSDGs講師育成講座受講生のレポートを紹介します。

Lesson 1の課題:

「あなたがSDGs講師育成講座を受講することに決めた理由は何ですか」

私は小さい頃から自然や生き物が好きで、友達と一緒に毎日のように人様の田んぼでおたまじゃくしをとったり水路でザリガニを釣ったりして遊んだ。本当にいい時代だったが高度経済成長の時代の真っ只中で、間もなく農作業は機械化され農薬が撒かれるようになり、水路はコンクリートで護岸され蓋をされてしまった。やがて、松食い虫防除のためといって山にもヘリコプターで農薬が撒かれるようになった。毎日遊んだ田畑は道路や住宅地に置き換わり、風景は一変、子供心にも違和感を覚えた。  

中学進学と同時に隣県へ転居し、友達がなかなかできなかった私は、学校の図書室で椋鳩十や戸川幸夫の児童書や、野生生物・自然を扱った本をを読み漁った。毎週欠かさず見ていた「野生の王国」という番組では、毎回博士が登場して乱開発による生き物たちの窮状を訴えていた。  

大好きな自然が日本でも世界でも壊されていくことが悲しかったし、こんなことをやる大人たちは間違っていると思った。その気持ちを誰かと共有したくて、生き物好きの友だちに打ち明けたら、「そんな宗教みたいな話やめて」と言われてしまった。当時は、自然を守ろうなんて言うと、白い目で見られる雰囲気があった。私の中の違和感は、どんどん大きくなっていった。そして、人々に環境破壊の愚かさをうまく伝えられるようになりたい、伝える仕事に就きたいと思うようになった。  

大学卒業後小学校の教師になったが、周りの先生方との価値観の違いに失望し、誰も尊敬できずに孤立した。今思えば、やけを起こさずに教師として一人前になることに専心し、足場を築くことが先決だった。辞めなければよかったと後悔したが、家業と子育てが忙しく、やっと自分の時間ができる年齢になり新たな活動を始めた。  

気候変動はずっと気になっていたが、アル・ゴアのドキュメンタリー「不都合な真実1・2」を観てお尻に火がつき、大阪や京都などいろんな団体が主催するイベントに参加するうちに岡山の再エネ関係のNPO会長に声をかけていただき、そこで小学校向けの出前講座を担当するようになった。  

アル・ゴアのクライメート・リアリティ・プロジェクトが東京で開催された2019年、800人の受講者の一人となった私は、お台場の会場で蟹江憲史氏の講義を受け、SDGsの実現なくして気候変動の解決は成し得ないということを知った。  

以来、気候変動や生物多様性の切り口でSDGsにも関心を持ち、オンラインでSDGsの話を聴くなどしていたが、自分も一度ちゃんと勉強したいと思った。出前講座等の教育を通じて持続可能な社会に向けての変化の芽を、子どもたちの心の中に育てられたらと思う。  

今の時点で、SDGsについては、「自分が世界とどのように繋がっていて、どのように影響を及ぼしているか、またはどのように影響を受けているかを探求し、社会変革に向けて行動すること」のようなイメージを持っている。SDGsカードゲームには何度か参加したことがあるが、「いろんな要素が絡み合っていること」「協働が必要であること」は理解できても、心でわかる感覚はあまり得られなかった。  

自分としては、「私たちは自然の一部であり、あらゆるものと影響を及ぼし合い繋がっていること」「今の社会は持続可能ではないこと」「協働して社会の仕組みを変えること」を心で理解してもらえる講座ができるようになりたいとの思いから受講を決めさせていただいた。これはあくまでも自分の現段階での思いであり、講座を受けてどのように変化するのか、または深められるのかを楽しみにしている。  

また、SDGsについて今の段階で気になっていることは、

・リービッヒの最小率、ドベネックの桶(横文字の難しい名前は知らなかったので、たった今ネットで調べました)のように表現されるとおり、SDGsは各項目が揃って達成されることが肝だと思うが、世間では「ウチは何番と何番に取り組んでいる」というような言い方をされることが多い。それはある意味SDGsウォッシュではないかと思うのだが、あまり難しいことを言うとかえって広がりにくいようにも思う。それに対処するためにも、全体像をまず心でわかることが大切なのではないか?

・私としては、「SDGsのウェディングケーキ」が、社会実装する上で最適なSDGsの表現方法だと思っている。あの四角い表(?)が一般的になっていることは、ちょっと残念な気持ちがする。

・日本では、SDGsも気候変動問題も、「みんなでできるところから、コツコツ削減」という価値観から抜け出せていない感じがする。

by HN


自然や生き物への深い愛情を原点に、地域でSDGs教育や気候変動問題の普及に取り組まれてきた受講生です。これまでの実践に加え、SDGs講座での学びを深めて、持続可能な社会の実現に尽力していただきたいと思います。


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