グローバルSDGs講師育成講座受講生のレポートを紹介します。
Lesson15 外国のSDGsの取組の中で、参考にしたい事例について
イギリスのプラスチック税についての目的と効果
プラスチックといえば、現代の生活において見ない日はないほど浸透している素材です。
しかし、環境に関する意識が高まる昨今、プラスチックは温暖化や海洋汚染問題の一つになっています。
このような環境問題が叫ばれるなか、イギリスではプラスチック税が新たに導入されました。
プラスチックは、ビニール袋やペットボトルなど身近な梱包材に使用されています。
手軽で耐久性が高い上にリーズナブルなことから、各国で使われている素材です。
しかし、ほとんどのプラスチックは使い捨てされる運命にあります。
正しく処理されなかったプラスチックは海や川などに流れてしまうため、大きな問題の一つです。
現に、世界中の海に流れ出したプラスチック廃棄物は、合計で1億5,000万トンにも上るといわれています。
プラスチック税は、正式名称「プラスチック製包装税」といいます。
2022年4月1日からイギリスで施行された制度で、イギリス国内のプラスチック製包装材を製造する業者とプラスチック製包装材を輸入する業者に対して課せられる税金です。
すべてのプラスチック製包装材に対してではなく、再生プラスチックが3割未満の製品が対象となっています。
金額は、1トン当たり200ポンドで、日本円にして約32,000円です。
イギリスでも、世界各国と同じくプラスチック廃棄物に関する問題を抱えています。
中でもプラスチック廃棄物が増加する要因となっているのが、プラスチック製包装材です。
実に、プラスチック廃棄物のうち6割以上が包装材から発生しているといわれています。
プラスチック税は、再生プラスチックを3割以上使った製品には課せられません。
つまり、新たにプラスチックを生み出すのではなく、再利用を促すことを目的とした制度です。
プラスチック税が導入されたことにより、イギリスのプラスチック包装材は大きく変化するとみられています。
もともとイギリスを含むヨーロッパは、環境に関する意識が高いエリアです。
プラスチック税以外にも環境税や炭素税などが課せられ、CO2対策も進んでいます。
再生プラスチックを促進させるためには、消費者に対する啓蒙に加え、再利用システムの構築も欠かせません。
これまでの環境対策に加え、プラスチック税が導入されたことで、プラスチック問題が解決されることが期待されます。
この取組みは「SDG12 つくる責任、つかう責任」及び「SDG14 海の豊かさを守ろう」を目的としています。
日本でも多くのプラスチック製品がまだまだ適正に処理出来ていない現状があります。
プラスチック問題は早急に解決する必要のある地球全体の課題で,解決には、私たち一人一人の活動も欠かせません。
井上 秀貴
イギリスでプラスチック包装税が導入されてから1年たちました。政府の発表によると、2022年~2023年度の1年間でこの税収は2億7600万ポンドだったということです。この税金の目標はお金を集めることではなく、プラスチック包装を減らすためだったことを考えると、この税収が多いほど失敗だったということになります。この税金はインフレに応じ、2023年4月1日から1トンにつき、£200から£210.82に値上げされました。これからの1年でこの税収が減るのでしょうか?