グローバルSDGs講師育成講座受講生のレポートを紹介します。
Lesson2の課題:
「SDGsの17のゴールのうち、あなたが特に関心を持つ目標は?」
◆関心のあるゴールは?
・・・12つくる責任・使う責任
◆特に取り組みたいターゲットは?
・・・12.8. 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と知識を持つようにする。
◆どうしてそのゴールを選んだのか?
学生時代の私は、服を買うことが大好きだった。
家庭教師のアルバイト代も、親からの仕送りも、ほとんど服を買うことに費やした。バブル経済の真っ只中、DCブランドがもてはやされた時代だった。友人と一緒に、コムサやピンクハウスを梯子し、値の張る服を「お取り置き」し、バイト代が入ったら買いに行く。その繰り返しだった。
バーゲンになると、安いから、可愛いからと、いくらでも買った。
その悪癖は就職と同時にいくらかマシにはなったが、これまでに買い漁った服は、今でも箪笥の中の肥やしとしてかなりのスペースを占めている。
その一方で、WWFや野鳥の会の会員になり、寄付もしていた。乱開発のために野生の生き物が犠牲になるのは、本当に辛かったし許せなかった。気候変動も心配だった。生き物を守ることをライフワークにしたいと心から願っていた。
バングラディシュのラナプラザビルが崩壊して、縫製工場の数千名を超える労働者が被害に遭ったのは、それから四半世紀も経ってのことだった。
私の浪費癖は、下火にはなったものの続いていた。ただそれは、私だけではなかった。先進国の人々の多くは、当たり前のように安価な衣類をたくさん買い、たくさん捨てていた。
大きな事故が起きて、やっと世界は気がついた。私たちは安い物をたくさん買うことで、ラナプラザで働いていた人や、世界中で似たような状況にある人々を搾取してきたのだ。
服だけではない。身の回りのありとあらゆる製品にあてはまることだ。
私たちは、資本主義の大きな弊害に、やっと気がついた。
それは、労働者の人権問題だけではなかった。気候変動や生物多様性の損失も、根っこは同じである。どれも、私たちの普段の暮らしが原因だ。便利さ、安価さを追求するうちに、知らない間に泥沼にハマっていた。
私は、生物多様性の損失を気にかけ、気候変動を心配しながらも地球を壊し、弱い人々から搾取するベルトコンベアーの一部だった。
2015年にSDGsが登場し、その問題が世界的に定義された。だが、それにもかかわらず、未だ人々は大量消費・大量廃棄のベルトコンベアーから降りられないでいる。
その原因は、私たちの社会の構造的なものだ。何も考えなければ、その中で問題に加担し続けることになる。
今大切なのは、人々が知ることだと思う。
私は地球環境の悪化や生態系の劣化をなんとかしたいといつも考えていた。しかし蓋を開けてみたら、自分は問題に加担する側だった。
だが、私たちは、知ることで自分の問題に気づくことができる。
SDGs12番は、まさに私たちの消費の問題を取り上げているが、これは消費だけにとどまらず、サプライチェーンを辿ると人権や健康、ジェンダーや気候変動、生物多様性など、ほとんど全ての目標に関係がある。
だから私は、まずこれを取り上げたい。
◆自分自身がそのゴール達成のために貢献できると思うことは?
・物を買うときには必ずサプライチェーンまで意識する。
・必要な物以外は買わない
・自分だけではなく周りにも広める
・出前講座で取り上げる
HN
消費のあり方を通して自分自身の行動を見つめ直し、「知ることから変わる」というSDGsの本質を体現したレポートです。
一人の気づきが社会を変える力になることを実感させてくれる内容で、SDGs講師講座の学びの意義を感じさせるものです。