グローバルSDGs講師育成講座の受講生が提出してくださっている課題レポートを紹介します。

Lesson 14の海外の取組について学んだレッスンで、SDGsランキングトップ国であるフィンランドについて。

新聞に掲載されていた記事で、フィンランドの北極圏にある町サッラで夏のオリンピックを招致しようとする試みについて取り上げられているものを紹介したものです。

リンクに動画が載っているので、そちらもぜひ見ていただきたいと思いました。


▼『トナカイ守りたい 北極圏の町、夏の五輪招致に「挑戦」』
(朝日新聞デジタル 2021年3月23日)
https://www.asahi.com/articles/ASP3P0PLNP34UHBI032.html

フィンランドの取り組みについては高福祉高負担社会という特徴がある事以外詳しく知らなかったのですが、以前見て衝撃的だった動画がこちらです。

場所は、北極圏にある町サッラ。町全体で2032年の夏季オリンピック招致活動に取り組み、温暖化が進んだ未来ではサッラでもビーチバレーや水泳が出来るといった動画を作って世界にアピールしました。

しかし最後には、「ねえ、本当にここで大会を開催したい?」という若者の問いかけ。そして字幕では、「お願いです。この大会の開催を実現させないで下さい」…「サッラを守ろう、地球を守ろう」というメッセージが表示される。

実はこれは、地球温暖化に警鐘を鳴らし、現地の現状に関心を持ってもらうための施策です。このキャンペーンを通じてサッラの町長は「世界は五輪の時のように、気候変動対策でも一体になる必要がある」と訴えました。 

事実、北極圏の温暖化は世界全体の平均よりも3倍のスピードで進行しています。地球全体の年平均気温の上昇(1971~2019年)は1℃でしたが、北極圏では3.1℃に達したそうです。それにより、海氷域面積も年々減少傾向にあり、問題は待ったなしの状態にあると言えます。

(以下引用)
「地球温暖化に伴い、直近5年(2017~2021年)平均の北極海の海氷域面積は、1979〜1983年の5年間の平均と比べて約280万km2も減少したといいます。これは日本の国土面積(約38万km2)の7倍以上です。」
(参考:https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/weather/article04.html)

動画でアピールし世界中に注目してもらうための施策だが、町全体を巻き込んでの本気度と動画の再生数から見える世界への影響力が素晴らしいと感じます。公開から約1カ月で延べ2億5000万人超が視聴したとのことでした。

★参考にしたい点

日本では、国や政府の行いに無関心または批判的なことが多い感覚があります。オリンピックの開催があった際には、建築費が高すぎることであったり、ボランティア制度が奴隷すぎることであったり、お弁当の廃棄があったり…と様々な批判がありました。

サッラの取り組みは市民にも協力してもらって行っていました。地球規模の環境問題も、実際は開催しないオリンピックも捉え方によっては市民から批判を浴びることもあるのではないでしょうか。市民も巻き込んで奇策を行えた背景には、政治への信頼と共に市民が環境に対する危機感を自分ごと化していたことが影響しているのではないでしょうか。

日本からも世界に通じるムーブメントを起こせたらなと思いました。そのためにまずは共感者のコミュニティーを形成していくことが必要かと思います。

播磨誌織

 


実は前々から疑問に思っていたことがあります。

それは、フィンランドなどはもっとそうですが、イギリスでも夏は涼しく冬は寒いので、温暖化で数度くらい気温が上がるのは正直を言うと、うれしいことなのです。夏は少しは夏らしくなるし、冬は暖かくなるし。

それなのに、そういう国(中~北ヨーロッパ諸国、カナダなども)では国民の間で気候変動についての関心が高く、何とかしなければならないと思う人が多いのに、日本のように気温が高く、酷暑がひどい国でそれほど関心が高くなかったり、解決のために何かをしたいという人が少ないことです。

気候変動国際意識調査:日本はなぜ環境意識が低い?

フィンランドでも北極圏にある町に住む人たちなら、気温が数度上がってくれることは、自分たちの生活だけに限ったら、実はうれしいことなのではないかと想像します。

それなのに、町ぐるみでこのようなキャンペーンをするということに感心しました。

ほかの受講生で、やはりフィンランドの取り組みについてレポートを書いた人は、この国の人が気候変動問題に熱心な理由についてこのように書いています。


フィンランドの人たちは、気候が穏やかな時も厳しい時も自然と共に暮らしてきたので、環境問題もすぐに「自分ごと」として解決したい、協力したいと思う人が多いでしょう。

このつながりが生活の根底にあり、それを深く愛する国民性がフィンランドにはあるのです。

また、これまでの生活様式・産業構造・国土の特徴なども、SDGsの目標達成に取り組みやすいものだったことも考えられます。

(井上秀貴)


フィンランドのどういうところがSDGs先進国となる理由になっているのでしょうか。

そして、日本と比べて、どこが違うのでしょうか。

あなたはどう思いますか?