グローバルSDGs講師育成講座受講生のレポートを紹介します。

Lesson 11 の課題:日本企業のSDGsの取り組み例で、注目していたり、優れていると思うものは?

私の今後の活動の中で力を入れていきたい環境圏の目標「13. 気候変動に具体的な対策を」「14. 海の豊かさを守ろう」「15. 陸の豊かさも守ろう」の目標に関連して、それらに直結する企業活動を調べてみた。ひとつには選べなかったので、いくつか紹介したい。

◉ 再生可能エネルギーを促進する企業

株式会社アップデーター(東京都)

「つくり手の顔が見えないことが、気候変動や貧困、心身の健康などの社会課題につながっているのではないか。」という問題提起が面白い。SX(サステイナビリティ・トランスフォーメーション)をコンセプトに、2018年に世界で初めて商用化したP2P電力トラッキングシステムを用いて、誰がどこの発電所の電気を使ったのかの見える化に成功。今後電力の地産地消や、発電所を指定した法人向けの電力メニューなどの展開も可能にする。今までは、使用している電気がどこの発電所で発電されたものかは不明だったため、「電力の種類を選ぶ」ということ自体が困難だったが、このシステムによって消費者が再生可能エネルギーを積極的に選ぶことができるようになる。日本の二酸化炭素排出が減らない大きな要因は、いまだに発電方法の7割を火力に頼っているところにある。再生可能エネルギー発電やその利用を促進していくことは、二酸化炭素を削減し、温暖化防止、気候変動緩和、に直結する活動である。

◉ ゴミのリサイクルに貢献する企業

石坂産業(埼玉県)

Lesson11で知った会社であるが、その「ZERO WASTE DESIGN」というコンセプトに感銘を受けた。分別はしても、その先ゴミがどのように加工され、どのように再利用されているか、は一般人には見えない場合が多い。工場は見学を受け入れており「私達のこの工場が廃棄物処理工場と環境教育活動を兼ねた1つのビジネスモデルみたいな形になればいい」という社長のビジョンにも大変共感する。ゴミ分別問題は、ゴミの行方・顛末の見える化によってかなり改善されると思う。

エフピコ(広島・東京本社)

食品トレーや透明プラスチック容器のリサイクルを推進している企業である。こちらでも工場見学を実施しており、スーパーなどで回収された食品とレイやプラスチック容器がどのようにリサイクルされるかが見学できる。現地での見学だけでなくオンライン見学を実施していることは、リサイクル現場の見える化に大きく貢献すると思われる。

◉ 資源を有効活用し環境保全に寄与する団体・企業

NPO法人竹もりの里(千葉県)/森に還す(長野県)

千葉県に拠点をおくNPO法人竹もりの里は、放置竹林を有効活用し、竹パウダー、竹炭、などを開発する他、竹ベンチなどの家具類も制作している。また、長野県原村に拠点をおく合同会社「森に還(かえ)す」は、同じく竹資源から猫砂用の竹ペレットを開発・販売している。かつては日本人の生活に欠かせなかった竹が、プラスチックに置き換わり使われなくなった。プラスチック問題が深刻になっている今、竹の利用促進が環境問題改善の一役を買うことは大いに期待できる。

レルムナチュレジャパン(神奈川県)

青森県で大量の産業廃棄物となっていたホタテの貝殻を粉末にし洗剤として開発している企業である。ゴミを減らすだけでなく、天然資源由来のホタテパウダーで洗い物をすると、水道管まで洗浄してくれるという。ゴミを減らすと同時に水回りの環境を綺麗にしてくれる優れものである。

 一般社団法人やさしい革(東京都)

エシカルプロダクツの1つとして豚革の利用を促進している団体である。日本の豚肉の需要は多く、その生産過程で食肉の副産物として出た豚皮をファッションアイテムに再利用することで、廃棄物の排出を最小限に抑えることができる。この革工場が作った豚革を用いて、Saiなどの豚革ブランドが生まれてきている。

上記に挙げた企業は、注目したい企業活動のほんの一部ではあるが、環境問題改善に積極的に取り組んでいる事例である。今後の課題として思いつくのは、これらの活動や商品の認知度である。ホタテパウダーなどは非常に優れた商品であるにもかかわらず、大手スーパーやドラッグストアでは全く売られていない。その他のエシカルなサービス・商品も、現状では大手企業のシェアが大きいものに比べて、かなり認知度が低い。“GX”、“SX”、“エシカル”、というキーワードを賢く用いて、もしくはカーボンフットプリント値などを利用して、環境にやさしいサービスや商品がもっと身近になっていくことが、まずは必要だと感じる。

斎藤真実

 


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