グローバルSDGs講師育成講座受講生のレポートを紹介します。
Lesson 5の課題:
「SDGsの理念・価値観で自分が特に重要だと思うものは何か。
その理由を、自分の経験や身近な例を挙げて述べなさい。」
SDGsの理念・価値観を語るうえで、私が特に重要だと思うことは、やはり、「1.「持続可能な」 sustainable」という言葉にある。もちろん、2「世代間の公平(公正)」Intergenerational Equity、3「包摂的」inclusive(誰ひとり取り残さない/Leave no one behind)、4.パートナーシップ(Partnership)も大事なところには違いない。
しかし、2~4は、今手を付けなければならない課題解決が目標であり、「1.「持続可能な」 sustainable」はこれらを未来永劫、後戻りすることなく続けていくことを目標とするところであるからである。
それではそれについて意見を述べます。先日、自社グループ創業家が保有する森林の間伐を行ってきました。普段は森林組合の方々に管理を依頼している山林ではありますが、その森林組合の方々の話によると、なぜ間伐が必要なのか、また、森の役割、育て方などについてお話を伺いました。
間伐する木は、直径20センチから30センチ程度のものでしたが、森が育っていく過程でこれらを間伐しないと健全な森に育たないということです。
林業は、森林のサイクルによって支えられています。苗木を植え、間伐を繰り返し、最終的には主伐を行い、木材として出荷されます。苗を植えたばかりの時は、下草刈り、今回のようにある程度育った木や、育つ過程で曲がったり、病気になった木を放置すると森全体の育成に関わるため間伐が重要になります。今回間伐した木もすでに40年前後のスギやヒノキでした。そのぐらい経ってもまだ間伐が必要だということです。そこからまだ20年から30年程度の時を経てようやく主伐し、出荷ができるということです。つまり、人間一代では苗木から出荷まで面倒をみることができない計算になります。つまり、先代が残した財産を現世代が引継ぎ、さらに次世代のためにまた苗木を植える。このようなサイクルを繰り返していきます。林業はまさに世代を超えて養っていく産業であり、これぞサステナブルな産業と言えるでしょう。
地球環境を維持し続けることは、私たちが暮らしていくうえで、重要なテーマです。産業の発展は私たちの暮らしを豊かなものにしましたが、一方で乱開発や産業の発展に伴う、GHGの排出により温暖化がこの100年、150年で大きく進み、気象に大きな変動をもたらしました。しかし、科学者たちの警告は今に始まったものではありません。すでに1960年代から警告されていました。諸悪の根源は、その警告を無視し続け今に到ります。その影響は多大で、今年国連のグテーレス事務総長も遂には「もはや地球は沸騰している」とまで言わしめました。
気象庁の発表によると、温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)の解析による2022年の大気中二酸化炭素の世界平均濃度は、前年と比べて2.2ppm増えて417.9ppmで、これは工業化以前(1750年)の平均的な値とされる約278ppmと比べて、50%増加しています。
このことからもわかる通り、科学的根拠は疑う余地もありません。この影響は、夏の異常高温、海の温暖化は4℃から5℃とも言われています。先日三重大学の気象専門の先生にお話を伺いましたが、日本は四季がなくなり、二季になった。しかしこれは戻れない、つまり、適応しなければ住めなくなると。一方で、人間は適応できても農作物や水産物は簡単に適応できません。
生物多様性の問題も最近大きく取り沙汰されていますが、生き物たちの棲息環境をどう守るのかはもはや個別生物の問題ではなく、人類を含めた喫緊の課題となりました。自然資本をどのように保全していくのかを人類を上げて取り組むべき課題だと考えています。このままでは、次世代に現在の地球環境を繋げていくことは困難となり、これはサステナブルではありません。
横山 敏貴