グローバルSDGs講師育成講座受講生のレポートを紹介します。

Lesson 1の課題:

「あなたがSDGs講師育成講座を受講することに決めた理由は何ですか」

私は、2016年2月にタイ・チェンマイで行われたワークキャンプに参加しました。このワークキャンプは、女性のエンパワーメント、青少年の育成、人道支援の3つをミッションとし、キリスト教の博愛精神を基盤に教育や慈善などの公益活動を行なう財団が主催していました。ワークキャンプに参加することを決めた理由は、財団のミッションに深く惹かれ、共感したからです。私は日頃から日本社会における女性の生きづらさを感じていましたまたそのような社会を変えるために青少年への教育が大切だと思っていました。そして自分の持っている力を誰かに献げることを通して、これまで出会ったことのない人たちと出会い、視野を広げたいと思っていました。

このワークキャンプは、タイ北部に住む山岳少数民族のモン族の子どもたちが暮らす寄宿舎の修繕が主な目的でした。地盤を整え、細かい石を枠に敷き詰め、コンクリートの土台を作ったり、トイレを設置したりしました。このワークキャンプの事前学習会の中で、モン族が住む山岳地域の教育機関は小学校までしかないことを知りました。小学校を卒業した子どもたちは、家計を支えるために家の仕事を担います。この状況を知り、可能性のある子どもたちに訪れるチャンスが阻まれ、生き方の選択肢が狭められていると感じました。その学習会において配布された資料が「Sustainable Development Goals:SDGs」でした。MDGs(ミレニアム開発目標)に続くものであり、2015年9月に「国連持続可能な開発サミット」で採択されたばかりだと学びました。私は「SDGs17の目標」に大きな感動をおぼえ、2030年までの15年間で、この社会や世界がどのように変化するのか、また目標に掲げられている課題は、どのように解決されていくのか期待を抱きました。英語で記された「Sustainable Development Goals」を日本語に訳し、項目一つ一つを見ながら、自分には何ができるかイメージしました。また私は勤務先である大学で取り組める課題についても考えを膨らませ、できることを実践してきました。

 一方、「Sustainable Development Goals:SDGs」がよく知られるようになったのは、2015年9月に採択され、数年後のことだったと思います。よく知られるようになった理由や、その期間にどのような動きがあったのかは知りません。2020年くらいから急にメディアに取り上げられるようになり、企業や学校も注目するようになったという印象があります。実際、娘が通っていた中学校では、FSC認証紙を使用することになり、学校が生徒に配布する資料や家庭へのお便りは、FSC認証紙を使用し、環境に配慮すること、またこれはSDGsへの取り組みでもあるという説明がありましたこの頃からSDGsのバッジをつけている人も見かけるようになりました。私は、「Sustainable Development Goals:SDGs」をはじめて目にしたとき、大きな感動を覚えました。しかし、このバッジをつけている人たちは、どの課題に取り組もうとしているのかと少し冷めた思いを抱きました。学校や企業のイメージアップのためにSDGsが掲げられているのではないだろうか、という思いも持っていました。しかし学校や企業での取り組みは、個人の取り組みより大きな力を持つことは否めません。

私は自分のできるアクションを考え、SDGs17のゴールを軸としたイベントを大学内で実施しました。食事を通して世界の格差を疑似体験するワークショップ「ハンガーバンケット」の実施、飢餓のない世界を創る国際協力NGOの写真展、難民支援を行うUNCHR協会の講演会や支援活動をまとめたパネル展、難民支援協会が提案する「M4R」の実施をはじめとし、ジェンダーや平和、人権について語り合うサークルも作り、学生と協働して、さまざまな企画を実施してきました。これまでも、現在も、学生とともに取り組んでいる活動はすべてSDGsに関連しています。

 私がSDGs講師育成講座を受講することを決めた理由は、「Sustainable Development Goals:SDGs」の達成まであと5年となった今、改めて学生と共にSDGsの達成のためにできることを考え、行動したいと思ったからです。またこれまでSDGsについて専門的に学んだ経験がないため、この講座を受講し、17の目標の中にある169のターゲットについて詳しく学びたいと思います。SDGsの基礎知識はもとより、現在の日本国内の具体的な取り組みや、海外の取り組みについて、最新の情報を知りたいと思っています。「Sustainable Development Goals:SDGs」が採択され10年経過した中、実際に改善された項目についても関心があります。この養成講座を通して学ぶ一つ一つの事柄、事例から、今後、個人的にまた、大学として取り組むべき課題を整理し、これからの社会を担っていく若い学生たちと共に、解決方法を見出していく場を作っていきたいと思っています。SDGsに取り組むことが、私たちの生活をより良いものにすることを共有しながら行動できる人の育成にも携わりたいと思っています。

大久保絹
 


日本でSDGsという言葉がよく知られるようになる前からSDGs17の目標に取り組んでいらっしゃった方にとって、急に、言葉だけが「流行る」ようになった日本の状況に「少し冷めた思い」を抱いたという感想には私も思い当たるふしがあります。けれども、このような人にこそこの講座を受講してもらい、真の意味でのSDGsを若い人たちと一緒に広げていってほしいと思います。


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