グローバルSDGs講師育成講座受講生のレポートを紹介します。
Lesson 1の課題:
「あなたがSDGs講師育成講座を受講することに決めた理由は何ですか」
自己紹介
私は現在夫と高校1年男子の3人家族です。IT系OLとして約10年勤務し、結婚・子育て中はその時の環境、その時点でのスキルを活かして出来る仕事をしてきました。子どもが小学校高学年になって多少手が離れたのを機に、これからの人生、働ける限り何か継続的な「ちゃんとしたこと」をしようと思い立ち、大学の通信教育部で図書館司書の資格を取得。無類の本好きだったこと、夫の転勤があっても図書館なら全国どこにでもあるので就職には困らないだろうという思いもありました。現在は私立大学図書館司書として働き始めて5年目になります。人生の指針は「非暴力」。まずは自分から実践ということで今年1月にヴィーガン宣言し、家族は何とかついてきています。特技はイラスト、カリグラフィー。オランウータンが大好きで、保護団体に寄付したり関連グッズを作ったりしています。
SDGsについて
さて、私とSDGsとの出会いですが、現在勤務している大学図書館内で2021年9月に「SDGs×自分」というリレー講座を6回に渡り外部の専門家を招いて行うことになり、それに合わせて図書館内にSDGsエリアが作られ、17の目標それぞれに合った本を並べるなどの作業に携わったのが始まりでした。勤務時間の関係で実際の講座には参加しませんでしたが、SDGsという言葉を直接的に身近に感じたのはこの時だったと思います。
ここからすぐにSDGsそれ自体に興味が沸いたかと言うと、そういうわけでもなく、むしろ生活体験に関連した事柄を調べていくことが、案外SDGsを網羅的に学ぶこととイコールだったということに気付きました。ここで自分の中で整理するためにも、各目標毎に学んだことを書き出していきたいと思います。
①No Poverty 貧困
自助努力ではどうしようもない想像を絶する貧困に陥り、人間の尊厳が全て奪われている人々の絶望を、正しく理解することができるだろうか。
②No Hunger 飢餓
私たち先進国の肉食を支えるために消費される穀物を世界中の人々に分配すれば飢餓は完全に解消するというデータがある。私がヴィーガンになった理由のひとつがこれ。
③Good Health and well-Being 健康と福祉
この分野の本はまだ読み込んだことがありませんが、難民や都市労働者、不毛な土地に住む人々の衛生環境や子どもたちのワクチン接種率の改善が必要。
④Good Education 教育
貧困、それに伴う児童労働、その国の政策のために学校に行けない子どもがグローバルサウスでは特に多く(特に女の子)、先進国でも経済格差による教育の機会不平等が取り沙汰される。
⑤Gender Equality ジェンダー平等
フェミニズム、家事労働、男女の賃金格差や雇用機会の不均衡については就業中も子育て中も身に沁みて感じてきました。動物の権利を論ずる本ではLGBTQにも言及するものもありました。
⑥Clean Water and Sanitation 水とトイレ
中村哲さんの偉業をもっとよく知りたいと思う。グローバルサウスでは水くみは主に女性の仕事とみなされており、それが男女の教育機会不均衡を生んでいるとも聞く。
⑦Affordable and Clean Energy エネルギー
世界中でクリーンエネルギーへの移行が促進されているとは言え、クリーンエネルギーに積極的だったドイツでさえ化石燃料への回帰が見られ、SAF、水素燃料、核融合など技術革新に期待するのもいいが、まずはそもそもエネルギーを使わない生活スタイルを模索しなければならないと思う。
⑧Decent Work and Economic Growth 仕事と経済成長
仕事と賃金の関係については、「ブルシットジョブ」を読んでからベーシックインカム、ギブ・ダイレクトリーの思想に感銘を受け、資本主義の限界も感じ、多くの若者が社会主義思想に流れるのも分かる気がする。
⑨Industry, Innovation and Infrastructure 産業と技術革新
そもそも技術革新があった故に地球温暖化が進行したのだが、⑦に書いたようにグローバルサウスの生活の質を上げつつ地球温暖化を食い止めるためにも技術革新は必要不可欠であると思う。
⑩Reduced Inequalities 不平等
持たざる国は持てる国の言うことを聞かざるを得ず(現代の植民地支配)、資本主義社会である限り労働者は資本家の言うことを聞かざるを得ず(現代の奴隷制)。
⑪Sustainable cities and Communities まちづくり
この分野は未開拓です!ただ、将来ヴィーガン&ブックカフェを開きたいなぁという夢もあるので、本屋や図書館を取り巻くまちづくりの本は読みました。
⑫Responsible Consumption and Production つくる責任 つかう責任
日本はアメリカに次ぐプラスチックゴミ排出大国であり、RSPOやFSC認証でさえ政府や大企業間で私利私欲のために容易に発行されているという報告もあったりで、エシカル消費も簡単ではありません。
⑬Climate Action 気候変動
グレタさんの「気候変動と環境危機」というぶ厚い本を完読して初めて、気候変動問題が自分ごととして腑に落ちました。逆に言えば、これくらい読み込まない限り人は気候変動を自分ごととして実感できないものだなと強く思いました。
⑭Life below Water 海の豊かさ
南アメリカで養殖されている鮭はほとんど酸欠により瀕死状態、過栄養による海の汚れは近海で漁を営むアルゼンチン漁師の生活を脅かしているという事実を知り、ますますヴィーガンになって良かったと思うこの頃。
⑮Life on Land 陸の豊かさ
オランウータンは熱帯雨林の豊かさの象徴であり、彼らを守ることが森、ひいては私たち全てを守ることになるというメカニズムを多くの人に理解してもらいたい。最近読んだ「マザーツリー」にも大いに感銘を受けた。
⑯Peace, Justice and Strong Institutions 平和と公正
グテーレス事務総長がどんなに平和を叫んでも、国連常任理事国が率先して戦争をしたり、武器援助したりしているという矛盾をどう考えたら良いのでしょう。
⑰Partnerships for The Goals パートナーシップ
「Leave No One Behind」。上の16項目はこの一語に尽きると思います。誰一人取り残さないためには、言い換えれば誰もが参加しなければ成り立たない。世界中の全ての人がこれらの恩恵を受ける権利があり、同時にこれらを遂行する義務があるということです。
以上、私がこれまで本やニュースなどから得た知識をSDGs目標に当てはめてみました。
SNSでは私の投稿に即した記事を黙っていても流してくれるので、世界中の人がヴィーガンやSDGs遂行に励んでいるかのような錯覚に陥ってしまいそうですが、実際は私の周りにはヴィーガンはおろかベジタリアンを名乗る人さえ皆無であるし、SDGsが自分に深く関わっていると思っている人も皆無です。
しかしこうしている内にも世界にはさまざまに困難な状況に喘ぐ人々に溢れ、地球は「沸騰」し続けており、一刻も早くより多くの人がこの現実が「事実」であることを自覚し、それぞれが出来ることを今すぐ行動に移さなければなりません。そのためにもまずはこの講座を通して私自身がSDGsをより深く理解し、論理的な破綻もなく興味を持って(できれば楽しんで)聞いてもらうためのスキルを身につけ、SDGsの真髄を伝えていきたいと思っています。また、一次データの読み方や信用できる情報源の収集法も学び、常に最新の情報を取り入れた信頼される講師を目指したいです。
SDGsは善く生きるための指針でもあります。つまりSDGsの精神を広めることは危機感を煽ることではなく、その先には善き人生の恩恵が待っていることを伝えることです。ですからSDGsの精神は我慢を強いるものでも強制されるものでもなく、本当の意味で人生を楽しむ方法であることを強調したいと思います。その意味合いでまずは私自身が人生を楽しむ実践者でありたいと思っており、ヴィーガンはそのひとつの表現方法に過ぎません。
これがSDGs講師育成講座を受講することに決めた理由、目的、講座から得たいこと、自分や社会のために成し遂げたいことです。
さいとうちなつ
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