グローバルSDGs講師育成講座受講生のレポートを紹介します。

Lesson 7 の課題:自分が関心のあるSDGs目標の現在の状況を調べる

「13. 気候変動に具体的な対策を」について、世界、日本、そして自分が住む山梨県の現状を調べてみたい。やらなければならないことは、「温室効果ガスの削減」で、その目標は、2030年までに2010年比で43%削減、そして2050年までに実質ゼロ、である(SDGs報告2023年特別版)。

まずは世界の実態はどうかをみてみる。日本エネルギー経済研究所の報告では、2010年時点で304億トンだった排出量は2021年には333億トンとなり、増加の一途を辿っている。増加傾向にある国では特に中国が顕著で、2010年の81億トンが、2021年には106億トンにまで増えている。一方欧州のいくつかの国では削減に成功している。1990年に比較した2018年のCO2排出量データによると、EU28カ国は-22%、ドイツ-26%、イギリス-36%と、高い目標達成度を実現している。また、デンマークには100%再生可能エネルギーだけの村が存在する。

次に日本の実績と実態をみてみる。日本は対2013年度比で2030年までに46%削減の目標を立てている。では現状はどうかというと、2013年度12億5,800万トンであった温室効果ガス排出量は、2022年度に11億3,500万トンとなり、2013年度比で19.3%(2億8,530万トン)の減少を成功させている。しかし、9年かけて約20%減なのであるから、6年後の2030年までに46%減の目標を達成していくには、今後さらに温室効果ガス排出量減少を加速していく必要がある。

最後に、山梨県の取り組みと実態を調べてみた。山梨県は、2009年に全国に先駆けて「2050年CO2ゼロやまなしの実現」を目指すことを宣言し、2021年2月には全国初となる県内全市町村共同による「やまなしゼロカーボンシティ宣言」を行っている。その目標はSDGsの目標と同じく「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」である。直近の成果としては、2013年度に771万5千トンあった温室効果ガス排出量が2020年度には614万9千トンとなり、約20%減を達成している。私が在住している北杜市は、太陽光発電システム導入に16万円、電気自動車購入には20万円の補助金を出す行政の取り組みも始まった。補助金を出してもらえるのは有難いが、太陽光発電システムの相場は50万〜100万円、EVの新車は安くても300万円ほどする、ということを考えると、もう少し気前の良い補助金でなければ、一般庶民の脱炭素アクションに拍車はかからないと思う。

世界的に見れば、温室効果ガスを2050年に実質ゼロにできる目処は立っていない。気候変動を阻止するためには、もっと大胆な政策、民間での意識変革が必要だろう。ノルウェーは2025年までにガソリン車の販売を禁止するし、イギリスは2035年までに電力を完全に脱炭素化するようだ。ドイツでも、石炭火力発電所の「水素化」が進んでいる。世界から学べる事例はたくさんある。

斎藤真実


最近英紙ガーディアンでも、IPCC気候科学者のうち パリ協定目標の1.5℃を予測するのは6%しかいないという記事が載っていました。このレポートにもあるように、気候変動対策のためには「もっと大胆な政策、民間での意識変革が必要」です。


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